誰にも邪魔されず、自分のペースで黙々と掃除を続ける。
家族でわいわい騒ぎながら掃除をしていた頃の記憶をどうにか押し込めて、掃除に専念しはじめた。

まずはダイニングキッチンからだ。
床にはうっすらと誇りが積もっている。

それ掃除機で吸い取って簡単に雑巾がけもした。
それから運び込まれていた荷物の中から灰色のカーペットを取り出してひいた。

毛がフカフカとして長いカーペットは太一がずっと愛用しているものだった。
劣化して捨てても結局同じものに買い直してまた使っている。

それからお風呂とトイレにはカビ取りスプレーを巻いて換気した。
時間を置いて洗い流すとまぁまぁキレイになっている。

山が近くでもこの家はギリギリ日当たりがよく、カビが生えにくいみたいだ。
トイレの水は何度か流している家に透明でキレイになった。

パイプに残っていた古い水も流れて、清潔な匂いが戻ってくる。
そらからキッチンの蛇口もしばらく出しっぱなしにしておくと、赤錆が消えてくれた。

「よし、問題なさそうだな」