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結果から言えば太一は警察へは連絡をしなかった。
代わりに別の場所へ連絡を入れて、十分日が暮れるのを待ってから帰宅した。

玄関には相変わらず薄汚れた靴が置かれているけれど、キッチンからはなんの音も聞こえてこない。
夕飯の香りもしない。

太一がドアを開けて室内へ入ると、そこには冨永の死体が頃だっていた。
冨永は上向きに倒れていて、その胸から少量の血が流れている。

銃痕だ。
見た目ですぐにわかった。

太一は冷静に冨永の死体を確認したあと、寝室にある段ボール箱を開けた。
この箱には大切な仕事道具が入っているため、引っ越し屋にもまかせずに自家用車で運んできたのだ。

開けるとそこには色々なものが入っている。
拳銃にナイフに違法薬物。

それを冨永に発見されなかったのは運がよかった。
梱包をガチガチに固めておいたから、開けばすぐに太一が気がつく。