「留守番中に晴子さんがいらして、勝手に家に上げていいか悩んだんですけど、太一さんと交際されていると聞いて……」

留守番していた冨永が早口に説明する。
太一はそれを聞きながらスーツの上着を脱いでテーブルについた。

いい香りがする。
こんなときだけれど、食欲の方が勝ってしまっていた。

「そうか。晴子はたしかに俺の恋人だ。家にあげても問題ない」
そう言うと、冨永がホッとしたように微笑んだ。

それから3人での夕飯が始まった。
こんな奇妙な関係の食卓を囲んだことなんて今までない。

冨永と晴子のふたりは料理という共通の趣味を見つけたようで、さっきから太一をのけものにして会話を弾ませている。

それから1時間ほどで晴子は帰っていった。
「晴子さんには親戚だと伝えておきました」

晴子が帰って食器の片付けをしながら冨永が言った。