告白

この頃、いろいろな方とのメール友達にはまっていました。彼女の加入しているのは、ショートメール。拓也は、自分の経験から、男性と女性は、メールや携帯を通した出会いは、むづかしい。はじめてのコール。直接電話すれば、同僚のままでいられたかも。その後、彼女と会話しなくなり、一方的なメールになってしまいました。タイムマシンがあるなら、この時に、もう一度もどりたい。本当は、彼女と出会いたくなかった。こんなに、好きになるとは。 
「君の事が好きで好きでしょうがありません」
そして、返事がきました。
「会社の同僚としか思っていません。もうメールしないで下さい」
そして、次の日から今まで、彼女との会話。テレパシーであるかのよこうだった会話を出来なくなりました。拓也は、ソッポを向かれてしまった。入社以来、仕事はせいいっぱいがんばってきました。でも、頭の中は毎日彼女の面影でいっぱい。彼女に、恋人がいるのかどうか知りません。この時、妄想である病気は完全に治っていました。21世紀の新年を迎えてただの同僚だった拓也を変えたのは、彼女の一言からでした。
ある日、彼女と顔を合わせたら「拓ちゃん」
彼女、俺のこといつの日からか、
「拓ちゃん、拓ちゃんって」呼んで来るようになりました。
「コーヒーおごって」
一杯、ごちそうしました。その後、頭の中の閃きは彼女へ差し入れしたり、会話したりと、顔を合わせれば彼女を捕まえていました。彼女が思わせぶりな性格かなあと思ってたら、案外、拓也の方かもしれません。あと一押ししないんです。彼女よりも、仕事でがんばる事のほうが強くて、彼女がどうしても、ほしくなった時。ちょっと、遅かったようです。アプローチのはじまりは、
2年程前のダイエーホークスが初優勝した時からでした。彼女に、チケット買いに行くから君も行く。
「うん、2枚買ってきてって」
ダイエーホークスの大ファンなんです。チケット発売の日、有休をとって公衆電話の前に6時間ねばりました。
もちろん、彼女とふたりで行く為に。第7戦目に、アクセスできましたが、結局取れませんでした。この時、彼女の心を少し揺るがした気がします。チケット買いに行く前日の日彼女に、2枚買ってくるよといったら、
「あ、どうしようどうしようって」
「龍ちゃん。返事、あとでいい」って、そのあと、ほったらかしにしてしまいました。なんで、彼女と顔を合わせると、あと一押ししないんだろう。あと一押ししていれば、この先、こんなに悩む事はなかっただろうと思います。彼女は、会社を、3日休んでいて拓也は、
彼女へ電話しました。
「風邪だいじょうぶですか。こじらせるとやばいから体調に気を付けて下さいと」
その後、彼女、2ヵ月程入院してしまいました。見舞いに行きたっかたけども、とうとういけなかった。退院後、私は、広島、大分、倉敷、福岡と出張ばかりの日を送っていました。会社に、帰ると彼女へ、おみやげを買っていきました。
「いつも、ありがとう」って言って、受け取ってくれました。広島のお好み焼き、広島のお酒、大分のプリン、福岡の明太子私は、この時、やましい気持ちは、全然ありませんでした。どうしても、彼女に食べてもらいたい気持ちでいっぱいでした。そして、数日後に
「会社の同僚としか思っていません」
人生、最大のあやまちをやってしまいました。その後、彼女はとうとう私に笑顔を見せてくれませんでした。
仕事の方も、凄い仕打ちが待っているとは、正式に品質課の一員になって、やる気をだしてがんばっていたのに、不景気の影響もあって、品質課から加工課へ飛ばされました。又、一から出直しです。拓也も、彼女へ近づく事が出来ずに、もう、彼女の存在に耐えられなくなっていきます。ある日、薬を貰いに病院にうかがった時です。何気なく、先生に自分の病気は何ですかと尋ねてみました。
「精神分裂病」
この言葉を聞いた時に、全身の力が抜けていくのを感じました。次の日、会社に行っても仕事をする力がでてきません。それで、2日程休みました。そして、会社の上司に、病気の事を隠さずに打ち上げました。これで、又、退職かあと思っていましたが。みんな、あっさりと受け入れてくれました。このあと、異動があったので、「?????」本当は、仕事はどうでもよかったのです。ただ、彼女に対して凄いあやまちをしてしまって、

     拓也の気持ち

この世から消えても好きな気がする
でも、こんなに好きになって
やばいよなあ
男と女って片思いで
こんなに好きになるのかなあ
違うと思いたい
俺の知ってる人と君が
結婚でもしたら俺どうしようか
君の前から完全に
姿を消すしかないね
だって、耐えられないから
やってみたい仕事あるし
俺、営業の仕事
やりたいんだよ本当は
好きだから
君と俺
あの日から会話してないからんな事に
なってしまった
君も笑顔見せなかったけども
俺も君に対して
笑顔みせてないものね
俺、毎日
君の事ばかり考えてるから
元気いっぱい
連休明けから
秒読みにはいるね
辛い日々が
又、はじまる
絶対
掛ける勇気ができない
携帯の電話番号
君からもし掛かってきたとしても
受話器にでる勇気は
沸かない
この会社に入社しなければよかったよ
こんな事になるなんて
人生最大のあやまちだった
拓也の決断
拓也は、埼玉県へ自ら希望して転勤を希望し受理された。失恋の傷を癒すためである。そして、手紙を旅たつ前に送った。親愛なる君へ
お手紙貰って、嫌がる人はめったにいないと聞いて、書いてしまいました。先日、お手紙差し上げました。その時に本当は、同じ手紙を作業着の胸ポケットに持っていました。当日、会社の事務所に‪1時‬間程、早苗さん来てましたが、昔の私だったら直接渡していたと思います。‬‬‬でも今の自分には、早苗さんに面と向かって言う事ができません。自分にとっては、‪1時‬間が24時間にも思える程の長い時間に感じました。‬‬‬どんなに相手の人が好きでも、自分の気持ちを素直に伝えない事には、先に進む事が出来ません。いつ頃から、こんなに早苗さんを好きになってしまったのか。ファームランドで、一緒にパットゴルフやったけども、あの時は恵子さんと同様に、なんてうるさい女性だろうと思ってました。この時に、得意の転職してたら、こんなに苦しむ事はなかったかも。別府に社員旅行に行った時に、ファミリーレストランで一緒になった時、冷や汗がダラダラ出たのが脳裏に焼き付いています。この時からかなあ、でも、いつも仕事している横を通って「かわいそう」と言って通り過ぎる、浩美さんを見て、嫌な女性だなあと思っていました。今から、3年程前、ダイエーホークスが初優勝した時。浩美さん、「いつもチョコレートパン食べてたら太るよって」、話してたっけ、あの時からよく話すようになって。俺、本当は、日本シリーズのチケット取れたら、早苗さんと二人で行くつもりでした。いつの間にか、気がついたら無茶苦茶好きになっていました。だって、好きなタイプの女性なんだから。‪都はるみ‬の、「惚れちゃたんだよ」じゃないけども、たかが女といっても、惚れてしまったんだから、しょうがないじゃない。‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬知り合ってから、4年半、今日になってもう我慢出来なくなってしまいました。そんなに好きなのに、希望して埼玉に行くなんて、バカだよなあ。うまく交際する事が、出来るとでも思ったのかなあ。早苗さんを幸せにしたくて、行こうと本当は思いました。早苗さんの顔と、女優の藤原紀香の顔が俺。ダブって見えるんだけど。観てましたか、1年位前の金ドラ。しがないピアノ弾きが、歩道橋の上を歩いて来るのを、待っていた紀香ちゃん。その顔の表情が、早苗さんにそっくりでした。早苗さん背が低いせいか、俺見る時に見上げたり、小さくうつむいたり、あの表情の写真撮ったら、優秀賞取れる様な気がします。この会社に入社して、4年半、俺、厚い辞書に書いても足らない位の、思い出がいっぱいあるよ。早苗さん、凄いと思ったのは、いつだったか大雨が降ってた日に、雨を利用してたの見てて、感心しました。拓也は、昨日、手紙で繁華街の手前にある公園に、待ってますと手紙を書いたが、とうとう来てはくれなかった。あの日から、半年間。とうとう、会話する事はなかった。飛行機は、東京は羽田に着いた。‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬