だって、貴方と過ごした日々はどれもかけがえのない思い出ばかりなんだよ。

私のくだらない話でも笑ってくれたり、時には相談に乗ってくれたり、仕事帰りにケーキを買って来てくれては励ましてくれたり。

とても幸せな日々だった。

叶うことなら、貴方がいた頃に戻りたい。

こんな事願ってももう会えないのに。

私って、バカだよね……。

強くならなきゃいけないのに、こんな状態じゃ貴方を悲しませてしまうって分かってるのに。

でも、まだ貴方がいない現実を受け止めきれない。

あの日、休日出勤する貴方を引き止めていたなら今も此処にいたのに。

今更、後悔したってもう遅いのに。

貴方の優しさが心に棲みついて痛いよ。

この心の傷も貴方じゃないと癒えないんだよ。

ねぇ、お願いだから戻って来てよ。

だって、この部屋は貴方がいた頃とそのままの状態なんだよ。

色違いのコップにお揃いのお皿。

お洒落なインテリアだって、どれも貴方と選んだものばかり。

貴方がいないだけでこんなにも寂しい部屋になってしまうなんて。

なんで、私を置いて行っちゃうの?

ねぇ、戻って来てよ!

そう強く願った途端、ガチャリとリビングのドアが開いて振り向く。

そこにいたのは……。