キーンコーンカーンコーン…

 スマホの電源をつけて時刻を確認する。画面には12時15分と記されていた。あと数歩で学校の門を通過する。"暑い"私は夏が嫌いだ。何故なら"暑い"からだ。汗を流してまで学校に行く理由がわからない。けど私の足は学校の方へと進んでいる。
今日は見れるかな…
私は、あの人を見たいがために学校へ行く。どれだけ眠くても遅刻をしてまで行く。毎日学校に行くのは当たり前だろう。だけど、私は当たり前ができない。入学式以来私は教室へ行っていない。代わりに今では八ヶ月自習室にお世話になっている。自習室だから放課後は生徒も使用する。そこで"あの人"に出会った。
 門を通過し、ロッカーを開けスニーカーとスリッパを入れ替える。スリッパは学年で色が変わっている。一年赤 二年青 三年緑 私は赤色のスリッパを履いて自習室に向かう。昼休憩だから色んな人が廊下を歩いている。私は少し顔を俯かせながら歩く。
 「てんちゃーん!!!今登校したて?」
この声の主は、1-Aの上石 琴(かみいし こと)同じクラスで太陽のように明るい彼女は私と仲良くしてくれている。そして、てんちゃんとは私1-A夜月 天花(よつき てんか)のこと太陽の子とは対照的だ。
天花「うーん、登校してきたよ」
琴 「5、6限目再来週のキャンプのこと説明するから、教室きてよー!」
天花「えー、無理」
やってしまった。また冷たい言い方になった。悪いとは思う、けど直そうとは思わない。
琴 「えー、そっかぁ…気が変わったら教室きて!」
 気がわかったらか…、私の気持ちも分からないくせに身勝手な発言をして欲しくない。私はそこで、わかった、とだけ返して自習室まで足を運んだ。