夏休みスペシャルのために、夏になる前に肌寒い季節に海で撮影することになった。ロケバスで海に行き合宿撮影だった。ロケでは 水着での登場もあって……。マリ姉のナイスボディーが映し出される。お父さんファンのためのコーナーだと思う。私は露出が少な目の水着で参戦。
「のどかは、胸が貧弱だな」
さりげなく、私の後ろでつぶやくナル兄。よく見ている……。
というかセクハラ全開。
「どこ見ているんですか?」
私はジト目で憧れのおにいさんを睨みつける。
こんな風景、一年前には想像もできなかった。
ナル兄は腹筋が割れていて、体を鍛えていることが水着になるとよくわかる。お母さんたちは、羨望のまなざしであの腹筋を見るに違いないと思った。
体操のジロー兄は体育会系だけあって体は絞られていたが、この寒さの中のロケでどうにも寒さに負けそうになっていた。
基本、あまりやる気のない体操の二人とやる気があるが方向性の違う、うたの二人が、春の寒空の海で、常夏気分で踊れ歌えの無茶ぶりだった。
うたのおねえさんの仕事を舐めていたかもしれない――。
思ったより 体力的にきつい。私は体育会系じゃないから正直一番足を引っ張っている。
辛さを顔に出さずに、まるで真夏の空の下で歌うかのようなナル兄はすごい。声は、後に撮り直すみたいだがそのまま使っても問題ないクオリティーだ。
夜は、疲れを癒すべく、温泉に浸かり
体操のマリ姉と語り合う。話してみると悪い人ではない。
良い人だと思う。
マリ姉は、芸能事務所に入ったがなかなか売れずの苦労人のようだった。
グラビアの仕事も二十歳過ぎて、長くはできないと思っていた。しかし、名前も売れていないし、スーパーのチラシのモデルでやっていくのも――。
この先のことを不安に感じていたらしい。
彼氏とも結婚を考えていたが、結婚よりも仕事を取ったという。
思ったより心意気のある人物だった。
そして、ナル兄のファンというのも本当だったらしく、もっと仲良くなりたいと真剣に考えているという。しかしながら、私もナル兄の大ファンで応援はできないでいた。プライベートのナル兄ではなく、うたのおにいさんとしての大ファンという意味だが。
ジロー兄はやる気がないし気が利かないから、マリ姉のタイプではないらしい。ジロー兄は悪い人ではないのだけれど……。
いい人そうだけど、本音は読めないタイプだなとは思う。
撮影の時はいつも肩と肩が密着する。変にうたのおにいさんとおねえさんが離れているのは不自然なので、いつもくっついてくださいと言われる。正直、心臓の音を聞かれてしまわないか――ドキドキしてさらに心拍数が上がる。
私の右には、いつもうたのおにいさんがいる。撮影が終わると、瞬時に離れるのだが、なかなか肩と肩が密着するという行為に慣れずにいた。
「のどかは、胸が貧弱だな」
さりげなく、私の後ろでつぶやくナル兄。よく見ている……。
というかセクハラ全開。
「どこ見ているんですか?」
私はジト目で憧れのおにいさんを睨みつける。
こんな風景、一年前には想像もできなかった。
ナル兄は腹筋が割れていて、体を鍛えていることが水着になるとよくわかる。お母さんたちは、羨望のまなざしであの腹筋を見るに違いないと思った。
体操のジロー兄は体育会系だけあって体は絞られていたが、この寒さの中のロケでどうにも寒さに負けそうになっていた。
基本、あまりやる気のない体操の二人とやる気があるが方向性の違う、うたの二人が、春の寒空の海で、常夏気分で踊れ歌えの無茶ぶりだった。
うたのおねえさんの仕事を舐めていたかもしれない――。
思ったより 体力的にきつい。私は体育会系じゃないから正直一番足を引っ張っている。
辛さを顔に出さずに、まるで真夏の空の下で歌うかのようなナル兄はすごい。声は、後に撮り直すみたいだがそのまま使っても問題ないクオリティーだ。
夜は、疲れを癒すべく、温泉に浸かり
体操のマリ姉と語り合う。話してみると悪い人ではない。
良い人だと思う。
マリ姉は、芸能事務所に入ったがなかなか売れずの苦労人のようだった。
グラビアの仕事も二十歳過ぎて、長くはできないと思っていた。しかし、名前も売れていないし、スーパーのチラシのモデルでやっていくのも――。
この先のことを不安に感じていたらしい。
彼氏とも結婚を考えていたが、結婚よりも仕事を取ったという。
思ったより心意気のある人物だった。
そして、ナル兄のファンというのも本当だったらしく、もっと仲良くなりたいと真剣に考えているという。しかしながら、私もナル兄の大ファンで応援はできないでいた。プライベートのナル兄ではなく、うたのおにいさんとしての大ファンという意味だが。
ジロー兄はやる気がないし気が利かないから、マリ姉のタイプではないらしい。ジロー兄は悪い人ではないのだけれど……。
いい人そうだけど、本音は読めないタイプだなとは思う。
撮影の時はいつも肩と肩が密着する。変にうたのおにいさんとおねえさんが離れているのは不自然なので、いつもくっついてくださいと言われる。正直、心臓の音を聞かれてしまわないか――ドキドキしてさらに心拍数が上がる。
私の右には、いつもうたのおにいさんがいる。撮影が終わると、瞬時に離れるのだが、なかなか肩と肩が密着するという行為に慣れずにいた。