「少し休んだら筋トレを伝授する、スクワットは太ももの広い筋肉を使うから有効だぞ。しかし、やり方をまちがいると足腰を痛めるからな。膝は足の指より出ないように!そして、自分で毎日運動プログラムをやるように、宿題な。そして、おえたあとは、毎回メッセージを送って来い、食事を作ったあとも、写真を撮ってここに送ること」

先生は名刺を差し出した。そこにはQRコードがあり、先生の連絡先が読み取れるシステムだ。これは名刺なわけで……私以外にも渡しているのだろうから、個人的に仲良くなれそうもないけれど、でも連絡する口実になるから、がんばるぞ。正直王子のメニューはきついけれど、それに耐えるのよ。愛のためよ。

「先生、毎日来てくれないの? お金なら支払うわよ」
「俺は忙しいんだ。全国のメス豚から依頼が殺到しているんだ」
「私は豚ですが、素敵な体型になった暁には付き合っていただけますか?」
死にかけた魚に告白された王子は災難だったと思うが、ここで断ったら本当に死んだ豚になってしまうかもしれないと思ったのかもしれない。

「んじゃ、目標体重になった時にはもう一度告れ」
「そこで私を振るって言うこと?」
「さあな」
そう言うとイケメン王子は次の仕事があるということで帰宅準備をはじめた。
さあな、って脈ありだと思っていいの? そんなことを考えてにやけていると。
「あ、そういえばケツに穴あいてるぞ。むりして小さいサイズ履いたから破けたんだな、ちゃんと直しとけよ」
私はお尻を隠す。真っ赤な豚だって羞恥心がある。

これから週に3回は先生が自宅に来てくれる。そして、半年後? 1年後? 痩せた私が告白したら王子はなんて答えてくれるのだろう?