約束の時間までまだ三十分もあるのに、もう白い石の前で待機している。ちょっと気合い入りすぎかな。
だってこれから晴翔と一緒にお出かけをするんだよ。初めての二人のお出かけ。一緒に映画を見て、それからご飯を食べる。これをデートって言うんだよね。
大会の次の日、朝から席替えがあって晴翔と一華の二人とは離れ離れになってしまった。
だけどね、昼休みに晴翔が私に話しかけにきてくれたんだ。
「岩田、昨日話してた部誌ができたんだけど一冊読んでもらえるかな」
さりげなく晴翔が言った昨日って言葉にキュンとくる。だって昨日は休みの日。休みの日に話をするって何だか特別な感じがしない?
「ありがとう。すぐに読んでみる」
「いや、恥ずかしいから家に帰ってからにしてくれるかな」
えー、晴翔は私の少林寺をしているところを見ているのに。
「岩田にはもっと自信のあるやつを俺の前で読んでほしいからさ。だからそれまでもう少し待ってて」
「え……」
何、今の台詞。これって晴翔からの約束?すごくキュンとするんですけど!
晴翔も急に困ったような顔をして慌てている。
「いや、せっかく、岩田が全道で優勝した試合を見たからさ。俺もそれくらいの自信作じゃないと恥ずかしくて」
もう、そういうことか。変に勘違いしちゃったよ。
「あれ。晴翔、部誌できたの?」
佐竹が私と晴翔の様子を見て話しかけてきた。
「おう。ちょうど佐竹にも渡そうと思ってたんだ」
晴翔が佐竹の方に向かう。ちらっともう一度だけ後ろ振り返って私の方を見た。
思わず、晴翔と目が合う。それだけでドキドキする。
席が離れたせいでちょっと晴翔と話すだけでも余計にドキドキしちゃうよ。
「なーに、理菜と晴翔ってもう付き合っているの?」
一華が周りに聞こえないようにささやく。
「そんなことないよ。まだデートにも行ってないんだから」
グイッと一華が私の方に寄ってくる。
「まだってどう言うこと?」
やばい、余計なことを言ってしまった。
それから一華にデートのアドバイスをいっぱい教えてもらった。着ていく服、デート用のメイク。やっぱり一華って女子力がすごく高い。
一華のアドバイスのおかげもあってデートの日もすぐに決まった。
そんな怒涛の一週間を思い返していたら、十分くらい経っていた。待ち合わせの時間がどんどん近づく。
晴翔からメッセージが届く。もしかしてドタキャンの連絡?
おそるおそるメッセージを開く。読んだら思わず笑っちゃった。
メッセージには「待ち合わせの白い石ってどこにあるの?」って書いてあるんだよ。
そんな晴翔のメッセージがとても可愛い。
前に一華に教えてもらった道順を送る。すぐに晴翔から了解!の返信がきた。
一華と待ち合わせをした時は私が上がってくる側だった。今度は私が白い石の前で待っている番だ。
晴翔の姿が見えた。晴翔が私の方に向かって歩いてくる。
「ごめんね、遅くなっちゃって」
私服姿の晴翔が目の前にいる。制服以外の晴翔はそれだけでかっこいい。
時間だってまだ約束の時間より五分も早い。
「ううん、私も今着いたとこだよ」
晴翔と会うと自然と笑顔になる。
今日の私はとびきりおしゃれで可愛いはず。気分はまさに小説のヒロイン。
「それじゃあ、映画館に行こうか」
晴翔と一緒に一歩進む。二人だけの物語が始まる音が聞こえた気がした。
だってこれから晴翔と一緒にお出かけをするんだよ。初めての二人のお出かけ。一緒に映画を見て、それからご飯を食べる。これをデートって言うんだよね。
大会の次の日、朝から席替えがあって晴翔と一華の二人とは離れ離れになってしまった。
だけどね、昼休みに晴翔が私に話しかけにきてくれたんだ。
「岩田、昨日話してた部誌ができたんだけど一冊読んでもらえるかな」
さりげなく晴翔が言った昨日って言葉にキュンとくる。だって昨日は休みの日。休みの日に話をするって何だか特別な感じがしない?
「ありがとう。すぐに読んでみる」
「いや、恥ずかしいから家に帰ってからにしてくれるかな」
えー、晴翔は私の少林寺をしているところを見ているのに。
「岩田にはもっと自信のあるやつを俺の前で読んでほしいからさ。だからそれまでもう少し待ってて」
「え……」
何、今の台詞。これって晴翔からの約束?すごくキュンとするんですけど!
晴翔も急に困ったような顔をして慌てている。
「いや、せっかく、岩田が全道で優勝した試合を見たからさ。俺もそれくらいの自信作じゃないと恥ずかしくて」
もう、そういうことか。変に勘違いしちゃったよ。
「あれ。晴翔、部誌できたの?」
佐竹が私と晴翔の様子を見て話しかけてきた。
「おう。ちょうど佐竹にも渡そうと思ってたんだ」
晴翔が佐竹の方に向かう。ちらっともう一度だけ後ろ振り返って私の方を見た。
思わず、晴翔と目が合う。それだけでドキドキする。
席が離れたせいでちょっと晴翔と話すだけでも余計にドキドキしちゃうよ。
「なーに、理菜と晴翔ってもう付き合っているの?」
一華が周りに聞こえないようにささやく。
「そんなことないよ。まだデートにも行ってないんだから」
グイッと一華が私の方に寄ってくる。
「まだってどう言うこと?」
やばい、余計なことを言ってしまった。
それから一華にデートのアドバイスをいっぱい教えてもらった。着ていく服、デート用のメイク。やっぱり一華って女子力がすごく高い。
一華のアドバイスのおかげもあってデートの日もすぐに決まった。
そんな怒涛の一週間を思い返していたら、十分くらい経っていた。待ち合わせの時間がどんどん近づく。
晴翔からメッセージが届く。もしかしてドタキャンの連絡?
おそるおそるメッセージを開く。読んだら思わず笑っちゃった。
メッセージには「待ち合わせの白い石ってどこにあるの?」って書いてあるんだよ。
そんな晴翔のメッセージがとても可愛い。
前に一華に教えてもらった道順を送る。すぐに晴翔から了解!の返信がきた。
一華と待ち合わせをした時は私が上がってくる側だった。今度は私が白い石の前で待っている番だ。
晴翔の姿が見えた。晴翔が私の方に向かって歩いてくる。
「ごめんね、遅くなっちゃって」
私服姿の晴翔が目の前にいる。制服以外の晴翔はそれだけでかっこいい。
時間だってまだ約束の時間より五分も早い。
「ううん、私も今着いたとこだよ」
晴翔と会うと自然と笑顔になる。
今日の私はとびきりおしゃれで可愛いはず。気分はまさに小説のヒロイン。
「それじゃあ、映画館に行こうか」
晴翔と一緒に一歩進む。二人だけの物語が始まる音が聞こえた気がした。