家に帰ると体力はすっかりゼロになる。はあー、今日も疲れた。制服から部屋着に着替えてスマホを確認する。メッセージが一件着ていた。

こんなアイコン今まで見たことない。不思議に思いながらメッセージアプリを開く。

うわ、思わず大きい声出しちゃった。晴翔からメッセージが来ていた。

ドキドキしながら晴翔からのメッセージを読む。

「放課後に図書室行って自分が読んだ本を思い出してみた。岩田の好きそうなジャンルに絞っていくつか選んでみたよ」

丁寧に図書室のどのコーナーにあるかまで写真を撮って送ってくれている。

学校内でスマホを使うのは厳禁だ。ってことは晴翔がこっそりスマホで写真を撮ってくれたってこと。

へえー、晴翔もそういうことするんだ。そう思うと、少しニヤついちゃう。

そうだ、晴翔に返信しないと。浮かれている場合じゃない。既読のマークは晴翔のスマホにもついているはず。あんまり遅いと既読無視したと思われちゃう。

でも、ここはあえてすぐに返さないっていうのもありだよね。これが恋の駆け引きってやつ?いやいや、そもそも晴翔は私との履歴なんて今すぐ見てないでしょ。

もう、舞い上がっちゃって全然頭が回らない。晴翔にメッセージをすぐに返したい。恋の駆け引きなんて私にはできない。

でもなんて返せばいいかすごく迷う。これが晴翔に送る最初のメッセージ。みんなどうやって返信してるの?

「二人とも、ご飯できたわよ」

やばい、早くテーブルに行かないと。でもメッセージを早く返したい。なのに焦ると全然文章が思いつかない。もう、こうなったら思ったことを送ろう。それしかない。

「おすすめの本を教えてくれてありがとう!今から読むのが楽しみ!!」

手慣れたフリック入力のはずなのにすごく緊張してしまう。

えいっ。思い切って送信ボタンを押す。私のスマホ上にしかなかったメッセージが晴翔のスマホにも届いている。

夜ご飯をささっと食べて、すぐ部屋に向かう。晴翔から返信があるか気になっちゃう。

スマホをつけるとパッと晴翔のアイコンが目に飛び込んできた。

メッセージを送って一分後に晴翔からの返信が来ていた。晴翔ってマメな男子なのかもしれない。

ベッドに仰向けで寝っ転がると、シャンプーの香りが微かに鼻をかすめた。

今の私、まるでヒロインみたい。

そんなこと思ったのが嬉しくて、恥ずかしくて、思わず布団をキューっと握りしめた。