それから、うろちょろしているワンちゃんの近くにしゃがみ込むなり、「おい、どうしたんだよ? 迷子か?」と声をかける。



ワンちゃんはというと、月神くんに気付くなり、つぶらな瞳をうるうるさせて、切なそうにクンクンと鼻を鳴らし始めた。



それはまるで月神くんを怖がっているというより、助けを訴えてるみたい。



「……なるほど、散歩に行きたかったのか。でも、だからって勝手に家を飛び出すのは駄目だろ?」



「月神くん、犬の言葉がわかるの?」



あまりにも具体的な言葉が聞こえたので、気になって月神くんにたずねてみる。



「ああ。ほら、狼と犬って遺伝子的に近いだろ? だから、こいつが何言ってんのか俺にはわかるんだよ」



「なるほど……」



「というわけで、明花。俺、こいつの飼い主探しに行ってくる!」