お金を払ってからしばらく待って、出来上がったクレープを店員さんから受け取ったその時。



ちょうど私たちの近くを、小さな犬が通りかかった。



ポメラニアンかな?



わたあめみたいなふわふわした毛と、水玉模様の服がとてもかわいくて、ついついなでたくなってしまう。



でも、首輪どころかリードすらしていないのが気になってしまう。



広場にはこのワンちゃんを探している飼い主さんらしき人も見かけないし……。



「ねえ、月神くん……。あのワンちゃん、迷い犬かな?」



「んー。だと思うけど、とりあえず聞いてみるか」



えっ? 聞いてみるって?



私が聞き返す前に、月神くんは「これ持ってて」と私に自分のクレープを渡して、ワンちゃんの元へ駆け寄った。