――2時間後。



「面白かったな。映画」



「うん。すっごく感動した!」



映画は私の期待以上に素晴らしい出来だった。



動画アプリではじめて予告映像を見た時からずっと気になっていたけど、ストーリーの伏線回収がとても綺麗で、胸がキュンキュンするエピソードも盛りだくさんで。



映画館に来て、大きなスクリーンで観て良かったなあ……としみじみ思う。



対して月神くんは余韻に浸るどころか、駅を出たとたんに「あー、腹減ったー」と空を仰ぎながら声を上げた。



「えっ? ポップコーン、ほとんど月神くんが食べてたのに⁉」



「もう昼だし、あんな軽いもんじゃ軽食にもならないって。逆に明花は腹減ってねーの?」



「えっと、私は……」




緊張と映画に集中していたせいで、ジュースを飲み干すので精いっぱいで、そこまで食欲があるわけじゃないんだけど……と言いかけたその時。駅裏の広場にクレープのキッチンカーが停まっているのが見えた。