「どうしたの?」


「ほら、デート中のカップルって、だいたい手を繋いでんじゃん」



「ま、まあそうだけど……周りに誰もいないのに、カップルのフリをするの?」



「この間みたいに、陰で他のやつがこっそり見てるかもしれないだろ」



――ギクッ!



それってもしかしなくても、私と紅林くんが講堂裏からこっそり月神くんたちのことをのぞいてた件のことだよね⁉



あの時のこと、月神くんは相当根に持っていたんだなあ……。



「わ、わかったよ……」



私はうなずくと、自分のよりも一回り大きな彼の手を取って歩き出した。