もうすぐホームルームが始まるからだろうか。



寮の付近には誰もいなかったけど、校舎に近付くにつれて、だんだん周りに生徒が増えて、ザワザワと騒がしくなってきた。
それと同時に。



「えっ……、嘘ぉ……」



「月神くんが女の子と歩いてる!」



「もしかして、彼女なのかな?」



どっ……どどど、どうしよう⁉



生まれてこの方14年。



目立たず地味に生きていた私が、こんなに大勢から注目を浴びるなんて……。



私は別に何も悪いことはしていない。



って思ってるし、そうだとしか考えられないけど。



『信じられない』って言っているみたいな周りの視線と、聞こえるようで聞こえないヒソヒソ声が心に突き刺さって痛い。