「まあ、そういうことなら、この子の血は吸わないであげる」



しっ、信じた⁉



紅林くん、信じちゃったよ!



しかも、あっさりと身を引いた……。



ダメ元で願ったことが叶った状況に、思わず拍子抜けしてしまう。



「サンキュ、紅林」



「別に。透明人間なのはもとより、こんな独占欲全開の彼氏がバックに付いてるんじゃ、何かと面倒なことになりそうだからね」



紅林くんは月神くんに嫌味を言った後、さっとこの場を立ち去った。



てっきり怪しまれると思ったのに。



意外と話せばわかってくれるというか、案外線引きできるヴァンパイアなのかもしれない……。