「やめろ」



頭の上からぴしゃりとした声が聞こえたと思ったら、あんなに重かった肩が嘘みたいに軽くなった。



さっきの声って、まさか……⁉



思い当たる人物に、閉じていたまぶたを薄く開いてみると――……。



「月神くん‼」



目の前には、さっきぶりの月神くんが立っていて、先ほど私の首筋に顔をうずめていた黒髪の男の子の首根っこをむんずとつかんでいた。