「あのさ」



「はっ、はい⁉」



頭を抱えてうろたえていると、急に月神くんに声をかけられた。



条件反射的に背筋がビクッと跳ね上がる。



ど、どうしよう……。



今すぐにでも逃げ出したくてたまらないのに、月神くんにお姫様抱っこをされている今はどうすることもできない。



というより、彼の琥珀色の瞳に睨まれて、身動きを取りたくても取れないよ……。



完全に逃げ道をなくしてしまって、全身からさーっと血の気が引いていくのを感じていると。