「まあ、僕はそんなことよりも、月神くんが朱音くんと一緒にこの屋上に飛んできたのが気になるんだけど」



「飛んできた⁉」



思わず耳を疑った私に、月神くんが「ああ」とうなずく。



「紅林ってヴァンパイアだろ? マントがあれば空を飛べるから、ここまで連れてきてもらったんだ」



「そ、そうなんだ……。じゃあ、紅林くんはどこに……?」



「あそこで体力使い切って寝てるみたいだね」



科野くんの視線の先――、少し離れた先で紅林くんが、床の上にうつぶせになってすやすやと眠っていた。