背後から聞こえた声に振り返ると、階段下にいる紅林が肩で息をしていた。



ぷるぷる笑うひざを抱えて、「ぜー、はー」と荒い呼吸を繰り返しているところからして、こいつなりに相当必死に俺を探していたんだろう。



「おい、大丈夫か⁉」



とにかく背中をさすってやろうと、急いで紅林の元へ駆け付けたその時。



「君さー、バッカじゃないの? 何で悠長にここで物思いにふけってるわけ?」



紅林が俺に向かってギロッと鋭い目で睨んできた。