「あっ、ごめんなさい」
急に横から伸びてきた指の長い華奢な手が、私の小さい手にぶつかった。
「いいえ、こちらこそ……」
顔を上げたその時。
「あら、明花ちゃん⁉」
ぱっと見20代後半ぐらいに見える綺麗な女の人が、ふわふわした声で私の名前を呼ぶなりぱちくりと目を見開いた。
「キャーッ! 久しぶり! おばちゃんのこと覚えてる⁉ ……って、もうずいぶん長いこと会ってないし、流石に忘れてるわよねえ……」
「あ、あのー……、どちら様ですか……?」
何でこの人、私の名前を知ってるの?
しかも、私と昔会ったことがあるって言ってるし……。
「私、颯のママ。今日はわざわざパーティに来てくれてありがとうね」
颯のママ……? ということは――、
「月神くんのお母さん⁉」
「ええ、そうよ」
月神くんのママさんは、にっこりとほほ笑んでうなずいた。