「自覚なく、お嬢様にそういう可愛らしいことを言われてしまうとですね……ここまで耐え抜いた鋼の理性を持つ僕も、我慢出来なくなってしまいますので、その、なるべくお嬢様の可愛いお言葉は、控えめにしていただけると有難いです」

「え……私、可愛かったの?」

 私はジュストに会いたかったと素直に思っていたことを言っただけなんだけど、彼にはそこまで我慢出来ないくらい可愛く聞こえたのかと照れつつ微笑んだ。

「……ええ。僕くらいの強い耐性がなければ、死人が出てもおかしくない致死量の可愛さでした。あまり振り撒くと、悪い男に攫われて……二度と帰って来られなくなりますよ」

 そんな脅しつけるような言葉も真剣でありながらも冗談であることを表すように、口元は笑っていた。

 私たちの関係がはっきりとして、ジュストが変わったところと言えば、私を好きだということを隠さない甘い眼差しだ。

 じっと見つめられていると、胸が高鳴って何も考えられなくなり、おかしくなってしまいそう。

 だから、私はジュストからわざとらしく目を逸らして、拗ねた口ぶりで言った。