「ええ。残念だわ。私、義理の息子に伝言を頼まれただけなの。あの子も色々あるらしくて……ごめんなさいね」

 何も悪くない美女にすまなそうに謝罪されて、私はこう言うしかなかった。

「いっ……いえ。私もそれは、仕方ないと思っています。ええ。大丈夫ですわ」

 私だって、何か事情があれば約束が反故になってしまうことは仕方ないと思える。けれど、残念だと思う気持ちを、すべて飲み込めるかと言われれば、それはまた別の問題で……。

「顔色が悪いわ。大丈夫?」

 てきめん顔に出てしまった私は、初めてお会いしたフィオーラ様にこれ以上気を使わせてしまう訳にもいかずに立ち上がった。

「ええ。少し、涼んで来ますわ……」

 一通り参加者の挨拶も済んだことだし、今日のお茶会は大規模に開催されていて人数も多い。私が一人抜けたところで、ほぼ気が付かれないし支障はないはずだ。

 ……会えると思っていたのに……本当にショック過ぎて、私に付いて来ようとした新しい護衛騎士に首を横に振って『付いて来ないで』と示した。