私たちは仲の良い姉妹で、良くお互いの部屋を行き来しているし、オレリーの体調が良くなってからそれは頻繁にあることだった。

 けれど、まさかこんなにも見られたくないところを、偶然見られてしまうなんて……。

「そっ……そんなこと、ないわ! これは、ラザール様からのお手紙よ。彼がさっきサラクラン伯爵邸に来ていたことは、貴女だって知っているでしょう?」

 先程、私の婚約者は訪問していたし、それを知らされた時、一緒に居たのはオレリーだ。流石に私宛の手紙を渡せとは言えないのか、眉を寄せていたオレリーは大きく息をついて言った。

「……お姉様。ラザール様は、本当に完璧な婚約者なのよ。それをほんの一時の感情で駄目にしてしまうなんて、とっても馬鹿げているわ」

 一般的な貴族令嬢としての損得を考えれば、そうなると思う。けれど、私ミシェル・サラクラン個人としての見解は違う。

「後悔なんて、しないわ。私は昔から、ジュストのことが好きだもの。それに、最近、気が付いただけなのよ」