「ふふ。それは、内緒よ。お姉さま。お姉さまだって、私に隠していたことがあったでしょう?」

 私はそれを聞いて、『もしかしたら、オレリーはラザール様が自分を婚約者に望んでいると知っていたのかもしれない』と思った。

 ……けれど、そんな訳はない。それだけは、お父様も言わないだろうし、誰もが愛するこの子に悲しむしかないようなことを誰がわざわざ伝えるだろう。

 おそらく、私がジュストとのことを、ずっと黙っていたと勘違いしているのだろう。

「……ジュストと私が想いを告げ合ったのは、家出してからよ。それまでは、私はラザール様に嫁ぐと思っていたし、そういう未来が現実になることを疑ってもいなかったもの。だから、別に隠していた訳ではないわ」

「お姉さま……そうなの?」

 やはり、オレリーは私がジュストと自分の関係を、ずっと黙っていたのだと思ってたようだ。

 ふうっと大きく息をつき、私は頷いた。