彼はそれを私には、絶対に言わないだろうけれど……ううん。ここではっきりと確認したとしても、認めないはずよ。

 自分の非を認めるなんて、しない人だと思うもの。

「さっき、君が見ていたものは何なんだ……? 古い貴族新聞か?」

 私が見ていたのはジュストの父親が陛下より叙爵された日の古い貴族新聞なんだけど、ラザール様は何を調べていたのか気になったらしい。

「え、ええ。少し調べ物がありまして」

「調べ物? 何を知りたいのか言えば、僕の従者に調べさせよう……君はそんな事をするような身分ではないだろう」

 高貴な公爵夫人になるのだから……? いいえ。ならないのよ。

 ラザール様はまだ知らないけど、私はジュストと結婚するって決めたんだから。

 彼に誠実であるためには、私だって早く婚約解消すべきだってわかってはいるけれど、ジュストとどうにかして話さないとそれも出来ない。

 ラザール様はこちらへとより近づき、開かれていたページの新聞を見ようとしたので、私はパタンと分厚い新聞を保存してあったバインダーを閉めた。

 ……思ったより大きな音がして、ラザール様は不快そうな表情になった。