最近は、まるで奇跡が起きたかのように著しく体調が良くなっているオレリーは、出歩くことも出来るようになり、ゆっくりとした足取りで庭を散歩していた。

 妹はお茶をしていた私たち二人に微笑み、軽く挨拶して通り過ぎただけだ。

 ただそれだけで、あの子は、私の婚約者の心を奪っていった。

 ……別に、オレリーは悪くない。

 それは私だって、良く理解している。

 あの子は性格も良くて可愛いだけ。姉の私なんかよりも、とっても可愛く清楚で男性の好みそうな容姿を持っているだけ。ただそれだけで、何も悪くない。

 婚約者のラザール様だって、悪くない。

 私の魅力的な妹に一目見て恋をしただけだもの。

 婚約者の私の前ではいつも通りで、妹オレリーのことを好きになったことは悟らせなかったけれど、私の両親には婚約者をオレリーに変更出来ないかと密かに打診していたのだ。

 それは今更難しいと断られて諦めたようだけど、たった一度見たオレリーと結婚したいとまで思ったのなら、それはそれで、オレリーの姉として喜ばしいことなのかもしれない。