我がサラクラン伯爵家が一丸となって、何かあればすぐに儚くなってしまいそうな病弱なあの子を必死で見守り育てた。

 やっとのことで十五歳になり、あの子の病に効くという特効薬を飲むようになった。

 それまでは、ベッドで寝たきりで生活するしかなかったと言うのに、時間が経つごとにだんだんと出来ることが増えていくのを、姉の私もほっと安心して喜ばしく思ったものだ。

 幼い頃からとある家の事情で決まっていた私の婚約者ラザール様は、いずれ公爵家を継ぐ方で、本来であれば伯爵令嬢の私なんかよりも、地位が高く美しい令嬢と結ばれる方であったはずだ。

 けれど、貴族同士の抱えるややこしい事情で彼は私の婚約者となり、私たち二人はそれなりに仲良くしていた。

 週に一度、私は婚約者ラザール様と恒例のお茶会をしていた。お互いの邸で交互に開催するのだけど、その時はちょうど我がサラクラン伯爵邸だった。

 そして、ほんのひと月前に、彼は偶然に散歩していた妹オレリーを見掛けたのだ。