「はい。義母上。演技もプロと思ってしまうほどに、とってもお上手なんですね。女優にでもなられたら良かったのでは? きっと、天職でしたよ」

 確かにフィオーラ様は『女優です』と自己紹介されても何の違和感もないほどに、美しい美貌を持ち洗練された身のこなしだった。ジュストのお父様ドレイク様も、そんな彼女の隣に立って困り顔をしていた。

 何? 私だけこの事態に、全然っ……付いていけていないんだけど……。

「あら。舞台に立つ女優になっても、数人の金持ちのパトロンを手懐けるのが関の山。私は自分が、金を出すパトロンになるのよ。誰かから金を貰うような、弱い立場ではなくてね」

 ジュストに向けた色っぽい流し目を私はうっかり受けてしまい、彼女の美しさに惹かれお金を出してしまうおじ様たちの気持ちがわかるような気がした。

「ははは。それは、失礼しました。義母上……ミシェル。そういう訳で、すみません。これは、すべて演技だったんです」

 ようやく私の方へ向き、毒を飲んで苦しんでいたはずのジュストは微笑みそう説明した。