「それはそれは……僕のお嬢様は、一番効果的な復讐方法をご存知でしたか。絶対に自分を見捨てないと思っていた愛する姉に決別されてしまえば、オレリー様は当分立ち直れないのではないですか。正直に言えば、ミシェル以外の女性との関係を匂わせられるなど我慢ならなかったんですが、それで溜飲を下げることが出来そうです」

 オレリーと夜を過ごしたと嘘をつかれたジュストは、いつもの彼なら考えられぬほどに余裕をなくしていたようだったから、本当に怒っていたのね。

「ええ。もう……これで良いわ。お父様も納得してくれるはずよ」

 私たちは先程の応接室へと戻り、お父様ともう一度話したいからと彼を呼んでもらうことにした。


◇◆◇


「……あの子は、納得したんだな」

 お父様は私から話を聞き、安心して胸を撫でおろしていたようだった。

 オレリーが可愛いのは、私もお父様も一緒だ。わかりやすい嘘でも、あの子を弾劾するような事態にならなくて良かった。