ジュストは私の話を聞いて、きょとんとした表情をしていた。思えば彼は、常に普通の態度で対応していただけなのだ。

 病弱なオレリーでも甘やかさずに、あの子が私に不利益のあることを言い出そうものなら『何故ですか。そのような必要性はありません』と、口では決して敵わないジュストが出て来てしまう。

 お父様に雇われていたサラクラン伯爵邸で働く他の使用人のように扱いは簡単にいかない。ジュストには、私個人を守るという確固たる意志があった。

 オレリーの我が侭は目に見えて少なくなり、私はたまに出て来る可愛い我が侭を許す寛大な姉のままで居られた。

 だから、ジュストが守ってくれたおかげで私はオレリーのことを愛する可愛い妹と思ったままで居られたのだ。

「ふふ……そうだったの! そうよ。全部、ジュストのおかげだったの。私が愛する妹を憎むようになり苦しまずに済んだのも、全部ジュストが私の事を守ってくれていたからなのよ……本当にありがとう」

 私は感極まって、涙を流してしまっていた。貴族は無闇に感情を見せてはならない。そう幼い頃から教育されていて、涙を流すことはあまりない。