オレリーも私も、目を逸らさなかった。今までずっと、目を背けてなかった振りをしていたことから。

 ……こうして、一目瞭然の確執として、私たち姉妹の目の前にあるものなのに。

「……だって、お姉さまが好きなのは、ジュストではないですか。ラザール様は決められた婚約者だから一緒に居るだけでしょう。お姉さまの中での価値は、ジュストの方が高い……だから、ラザール様よりも欲しくなったんです」

 オレリーは処女であるかどうかを確認するための医師の診断も受けたくないし、私を言いくるめるのももう無理だと思ったのか、ふてくされたようにそう言った。

 身体は大きく成長して、私たちはオレリーが成長したと思っていた……いいえ。オレリーが都合が良いと判断して、そういう風に見せていただけ。

 この子は産まれて来てからのほとんどをベッドの上で一人時を過ごし、会う人と言えば自分を甘やかす家族とその使用人や医者だけ。

 そんな状況下で、人としての精神的な成長を得ることは難しかった。

 逆に素直に甘えたり可愛く見せることにかけては、より得意になっていったはずだ。だって……それしか、することがない。