釈然としない表情のジュストは私がまだ、この話を持ち出して来た理由がわからないらしい。

「あの子はだんだんと成長して、そこまでの我が侭は言わなくなったわ。正直に言うと、両親が私の婚約者ラザール様とはあの子が会わないようにしていたの。けれど、偶然会ってしまったの。あの時……ラザール様は、オレリーを選んだ」

「あー……はい。そうでしたね。はいはい。それは、僕も良く存じております」

「私……あの話を聞いた時、婚約者まで取られたと思ったの。けれど、オレリーは知っての通り何もしていないわ。あの子は何も悪くないし、ただ私が一人恐怖していただけなのよ。衝動的に、家出してしまったの。けれど、オレリーは、私がラザール様と結婚することを望んでいた」

「僕も知っております。ミシェル。あの……」

 困惑している様子のジュストは、ここまで話した私が何を言いたいかわからないようだ。

 それも、そうだと思う。

 これは、あの子の姉で私にしかわからないような……そういう意味合いの話だから。