「本当よ! ……お姉様。私とジュスト、どっちを信じるの!?」

 私は……妹オレリーは、可愛い。

 身体が弱く生まれて来たのは、あの子のせいではないし、姉として出来るだけのことをしてあげたいと思って、そうして来たつもりだ。

 欲しいと言うものを譲ったり、あの子の願うようになるよう出来るだけ、我慢して来た。

 けれど、これは……ジュストを自分へ譲れと言うこと?

「……オレリー、どうして嘘を?」

 真剣に問いかけた私を睨みつけ、オレリーは言った。

「いいえ! これは、紛れもない真実です。ジュストが私を先に傷物にしたのですわ。だから、彼と結婚するのなら、私です。健康なお姉様は、誰とでも結婚出来るのですから……!」

 興奮したオレリーははあはあと荒い息を吐いたので、お父様は彼女を宥めて部屋に帰るように指示した。

「もう良い。用は済んだ。オレリーは、部屋に戻って休みなさい」

「……お父様! ですが」

「早く帰りなさい……誰か! オレリーを送るように」

 先ほど人払いしていたメイドが二人部屋へと入って来て、荒い息を吐くオレリーを抱き上げるようにして連れて行った。