悲劇の中亡くなってしまった妹を思う姉の気持ちが、痛いほどに伝わり、そんな彼女の気持ちを助けて貰えるように利用してしまったことに良心が疼いた。


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 私たち二人は、ジュストが乗って来たという馬車に乗った。走り出したのを確認して、私は隣に座っている彼へと詰め寄った。

「ねえ……ラザール様の隠し子ってどういうこと? 国王陛下って、王妃様にしりに敷かれ過ぎではない? それに……王妃様の妹君の話も知っていて、彼女が助けてくれると踏んだのね?」

「ミシェルお嬢様。一度にいくつも質問されると、どれから答えて良いかわからなくなりますね」

 苦笑したジュストの目は泣いた直後で赤く腫れていて、私は彼が初めて泣いたところを見たと、良くわからないところで感心してしまったりも。

「もうっ……それでは、ラザール様の隠し子の話は?」

「ええ。真実です。情報って、本当に大事ですよね。情報源は明かせません。それは、お嬢様にも理解して頂けると思いますが」