「隠し子の件は、どうなのですか。ミシェルはあれを聞き、日々泣き暮らしておりました。あんな人と結婚したくないと、遠い辺境の村にまで家出までしたのです。それを追い掛けたのが僕。泣いているミシェルを追い掛け慰め、彼女が傷付けられるくらいならと、すべてを捨てて愛し合うことに決めました」

 ……え?

 私はこれまでに想像もしたことのなかった情報を聞き、耳を疑った。

 なんですって? 私って、そうだったの?

 いえいえ……そんな訳はないわ。そんなこと、これまでに聞いたこともないもの。

「そっ……それは」

 二の句が継げず、焦っているラザール様。それは、ジュストがさっき口にした隠し子が居るという情報が真実であることを示していた。

 ……嘘でしょう。婚約者をオレリーに交換したいと言い出したことなんて、ほんの可愛い話に終わるような爆弾発言ではない?

「まあ! なんですって。まだ結婚もしていない状況で、隠し子発覚など! それは、こんな人とは結婚したくないと逃げ出しても仕方ないわ。妹に浮気心を出すだけでは飽きたらず……! なんという酷い男なの!」