小さな指輪は、持ち主のもとに今だにたどり着けていない。 そうしたのは、自分だった。 自分でも、自分の行動が理解出来なかった。 もとあった場所に置いておけば、この指輪はちゃんと渡されるべき人に届いていたはずだ。 少なくとも、この指輪だけは。 ―一緒に、いつまでも、幸せでいよう。幸せになろう。― 指輪が入った箱に一緒に入っていたメッセージカード。 こんなものまで俺が奪う権利はなかった。 「眠れないな。」