夏帆br
ふわあ、、、。ベッドから起き上がって押し入れにしまわれた制服を取り出す。
クシュン!少し埃っぽい。妹の日向と同じ部屋だからお母さんが掃除してくれてるみたいだけどやっぱり私の方は放置しがちだよねー。
時計を見ると8時10分。深山高校の始業時間は8時15分。
「今の私だとできないことも多いけど、これに関しては便利ー」そう言って私は学校へ向かった。
キーンコーンカーンコーン
始業のチャイムが鳴る。それを聞いて慌てて校舎に入っていく生徒たちを窓から見下ろす。
昔は私もあっち側だったなー。ふと肩を叩かれて慌てて後ろを振り向く。後ろの席の、、、ああ、宮日那唯明(みやひなゆいあ)さんだ。
「ね、夏帆ちゃんって何処からきてるの?」唐突な質問だなと私は思った。宮日那さんはいつもこんな感じ、、、、らしい。
学年でも「どこか憎めない不思議ちゃん」という愛称が陰でつけられている。
「私は南池袋の方から来てるんだ。どうして?」そう聞くと宮日那さんは首を傾げて「そう、、、。」と短く言い黙ってしまった。
何なんだろう、立場上色々わかっちゃう私からしても本当に謎が多い人だ。
ガラリと教室の扉が開いて担任の先生が入ってくると夏帆はすぐに宮日那さんのことなど忘れてしまった。

「起立。礼。さようなら」
ショートホームルームが終わりクラスメイト達が教室を出ていく。
私もそれに続こうと机の整理をしていたら、「おーい、藤森ー。」と自分の名前を呼ばれる。
声のする方を見ると、そこにはクラスメイトの男子。「コイツがなんか用事あるってー」彼が指さす方向に視線を向ける。
うげっ。忘れてた。高身長で顔面偏差値化け物の髪の毛サラサラ男子。宮木深。
今も周りの女子たちの熱い視線を浴びている。ああ、面倒くさい。私は日向のJKライフをみたかっただけなのに、、、、。