これは後日談。

文化祭も、クラス発表と私たち三人がメインの有志発表は大成功だった。

家族も私の新たな門出を応援してくれている。そして、これはそのうちの一つ。


「え、本当にこんな場所に住むの?二人で?」

「あ、狭すぎた?ちょっと俺の財力的にはこれが限界でさ、ごめんね?」

違う。狭いんじゃない。広すぎるんだって!こんなに広いお家に二人きり?

掃除とか大変だし……そして何より、夜は一人じゃ耐えられないやつだ。

どこぞのおとぎ話に出てくるお城のような雰囲気を醸し出して、内装はシンプルなもののピッカピカ。

こんなに広いのに埃ひとつもない。

「あ、そうそう。夏葉は掃除しなくても良いからね?掃除は全部、使用人に任せてあるから。洗濯もやらなくても良いんだよ?……ご飯は、どうしても夏葉のが食べたい」

「私、そこまで料理のデパートリーが多いわけじゃないから。って、掃除も洗濯も任せられないって!申し訳なさすぎてこの家にいられない……手伝ってくれる、とかなら良いけど、全部は流石に…」

「良いの良いの。無駄に余り余ったお金を夏葉のために使えるんだしっ。それよりも……ほらっ!見てみてっ」

「え、広っ!高級旅館の温泉並みに大きいんだけどっ」

なんだこれは……十人が一気に入っても余裕のあるくらい大きなお風呂が…目の前にある。

「俺のお母さんが、二人で気持ちよくゆっくりしなって付けてくれたんだ。だから、言葉そのままに、気持ちよくゆっくりしよっ?」

「美記のお母さんには感謝しかない…合わせる顔がないよ」

彼の「気持ちよくゆっくりしよ」には裏心が隠れていると本能で感じた私は、この言葉の返事はしなかった。

それよりも!こんなに立派なお家に私がいても良いのだろうか。家族にも申し訳なさで胸がいっぱいだ。

「ボーとしてないでさ…これもみてよ!必死になって貰ってきたんだ〜」

そうして美記に見せられたのは、過去に私が撮った写真だった。

「一体どこから貰ってきたの……え、待って、これ、コンテストに出したはずの写真…」

「俺と海が映った写真も良かったけどさ、やっぱ本命は俺じゃん?しかも、この写真はどれよりも魅力的なんだ。だから、一応審査は終わったと聞いて貰ってきた!」

これは流石に、本人に見られるとすごく恥ずかしい。