だけど、それ以上に嬉しいサプライズが、「私を」待っていた。
「今はまだ無理だけど…俺と、結婚してくれますか?結婚を、約束してくれますか?」
「っ、ふぅう……こ、こんな私で…良いのなら、私こそよろしくお願いしますっ」
ガチ泣きの私、全然可愛くないんだろうな。
涙でぐしゃぐしゃになっているであろう私の顔、今は重い前髪で隠れてなんかいない。
役なんかじゃない、「私」の涙。それを優しく拭ってくれるのは、大好きな人。
あぁ、私、こんなに幸せで良いのかな?
何回も色々なことから逃げて来た卑怯で弱い私が、幸せになっても良いのかな?
ねぇ、これは、美記が夏葉に渡したもの、で良いんだよね?そう捉えても良いんだよね?
だったら、こんなに嬉しいことなんてないよ。
止まれ、止まれ……止まらないで。私の涙。
「俺、誰よりも幸せにしてみせるから。キミは誰よりも美しくて可愛くて、心が綺麗で…唇が柔らかい女の子なんだよ。もっと自信を持って良いんだよ。俺が、ずっと見て来た…ってキモイかな」
「ううん!えと、唇のことは置いといて……」
「あははっ!本当だけどジョーダン。俺さ、キミは忘れてしまったかもしれないけどさ、小学生の時に同じクラスだったことがあるんだよ?あの頃とは面影もないかもしれないけど」
「うん。知ってます……知ってる。あの頃から、私はあなたに恋をしてたから。昔の友達で、今は「恋人、でしょ?」
台本を見た時にうっすらと感じたんだ。この辺はアドリブって書いてあった。
きっと、こういうストーリーにしたかったんだよね?私たちだけの、唯一のもの。
「タメに戻ってくれて嬉しい。敬語だと、なんか聞き心地が悪くて…」
「本当は私もだよ。私こそ、あの頃は重たい前髪じゃなかったしさ、面影なかったよね?それなのに、見つけてくれてありがとう」
「それはこっちこそ」
例え見た目が違っても、中身がそこまで私たちは変わっていない。だからこそ、気づくことができたんだ。
それに、この役上では名前だって変わってないから、今の私たちよりも簡単にくっつくことができるんだと思う。
色々あったなぁ。だけど、美記や家族、海が支えてくれた。
ずっと過去に縛られている私を、解放してくれたのは美記だ。
美記となら、どこまでも行けそうな気がする。自由という名の翼が生えた鳥のような気分。
ねぇ、美記。これからも、ずっとずっと
「「大好きだよ」」