「な、なぁ。あの人って不登校の一年じゃね?」「…なんでここにいるんだ?」「威圧感半端ねぇ…怖いわ」
周りもコソコソと話し始めているけど大丈夫かな……
「あ、海!俺たちのバスケの試合、観てくれてた?なかなか夏葉が手強くてさー、危なかったよ」
「あっそ。…仲直りしたんだ。良かったね」
「うん。海も相談に乗ってくれてありがとう」
あ、周りの目を気にしずに二人が会話し始めた。相変わらず周りは「え、どういう関係?」何てザワザワしている。
本人たちは気にしていないようだから、私も会話に混ぜてもらう。
「そういえば、ドラマ見たよ!普段の海とは思えない演技で、ずっと画面から目を離せなかったよ」
私の言葉に周りは納得し始めた。
「あ、そうだった。確かに美記たちと同じタイミングで事務所に入って色々出演してるんだった」
「演技している時と違いすぎて、俺よくわからなかったわ」
そうでしょそうでしょ?私たちは役者経験あるのに彼は初心者だからね?それでここまでできるとか信じられない。
……いつも不良キャラ演じているからかもしれないけど。
「それより、いつまでその格好でいるわけ?あと三分もしないうちに予鈴がなるけど?」
「「「あ、そうだった」」」
海のその一言で、私たちは急いでボールを片付けて着替えたのだった。
授業が終わり、いつもの時間に屋上へと向かう。今日は珍しく海も授業に参加しているようだった。
またイジメられていないか心配だったけど、クラスを聞くのを忘れてしまい、今に至る。
それは美記も同じらしい。さっきから顔が曇っているのを隠せていない。
ドアを開ければ、そこには海を眺める海の姿があった。
「海、来たよー!…で、授業大丈夫だった?ついていけた?」
そうやって無理して笑う美記は、本当は別のことを聞きたかったはず。
「うん。でも先生の話聞くのめんどくさくて、ほとんどボーとしてた。黒板に書いてあることはノートに写しはしたけどね」
「…ちなみに、クラスメイトはどんな反応だったの?話したくなければ話さなくて良いよ」
「クラスメイトは驚いていたよ。俺、正直他人に興味はないからさ、人の反応なんてもう気にしてない。イジメられることもなかったし、今のところは安全そう。役者始めたのも良かったかもしれないね」