「分かった。試合してあげるけど、美記のチームをボコボコにしてあげるね♪」
「はは、あくまで夏葉は女の子だからね?勝てるわけないよ」
へぇ?なめてくれちゃって。私の運動神経なめないでいただきたいなぁ。
「な、なんかあの二人ばちばちしてね?」「あれって、演技?それとも素?」
周りはザワザワしているけれど、そんなの関係ない。私はやると決めたらやるのがモットー。
ピーという甲高い音を合図に試合が終わる。
「あー、なんか悔しい!あと一本スリーポイントを決めたら勝てたのに!」
試合結果は二十分で四十七点対四十五点で私たちのチームが負けた。……悔しい!
「ちょっと待って?美記の彼女さん、バスケのセンス大アリじゃないか!」
アハハハハ……部長さんに褒められても素直に喜べないなぁ。
あなた、補欠に居たじゃないですか。もしかしてバスケ、下手…とか?……失礼なこと考えてしまいすみません。
「夏葉、スリーポイント決めすぎじゃない?俺も凄かったと思うけど、負けてないよ。あぁ、俺も悔しい!チーム、本当は俺らのチームの方がやや強いメンツなんだ。それなのにほぼ同じくらいの点数になるとか、夏葉凄すぎ」
「まぁね?私、卓球やバドミントンなどのボールが小さい競技は苦手だけど、バスケやバレーなら全然出来るんだ♪いやぁ、それにしてもすごい攻防だった時あったね!あの時めっちゃ楽しかった!」
あぁ、これだからスポーツの沼からは逃れられないんだ。ストレスも吹き飛ばしてくれる。
「はぁはぁ、っ、美記の彼女さん、体力、どうなってんの?」
「はぁ、…俺ら息切れするのに、汗かくだけだもんな。はぁ、あの二人バケモンすぎ…」
……うん。この人たちの声は無視しよう。汗だくなのは女子としては少し恥ずかしいけれど、私はそこまで気にはしない。
別にモテたいわけじゃないし、汗は体の体温調節をしてくれるから憎めないんだよね。
服などで汗を拭う時はもちろんあるけど、必要以上にはしない。汗も責務を全うしたいのかもしれないからね。
ただ、バケモンって表現は良くは思わない。そんなに思うなら、毎日走って体力をつければ良いだけのこと。
「やっぱここに居たのか」
聞き覚えのある声が聞こえて、勢いよく振り向いたそこに居たのは海だった。
あれ、でも、海は普段学校に来てないアピールするために、屋上生活をしているし靴の対策も徹底しているよね?
こんなに堂々と姿を見せちゃって良かったのかな?