なんか喉が渇いてきたなぁ。水筒は持ってきてないし、スタジオ内にある自動販売機に行って買ってこようかな。

そう考えていた時、ほっぺたに冷たいものが触れた。

驚いて振り向けば、そこにはペットボトルの水を持った美記がいた。その後ろには海もいる。

「お疲れ様。ちょっと元気がなさそうだったからさ、さっきスタッフさんから貰ってきたんだ」

「佐藤さん、とても心配してましたよ?夏葉さん愛されてますね!」

「あ、余計なこと言わないでよ海。まぁ、ほら、喉乾いたでしょ?」

「う、うん。ありがとう」

美記はエスパーか何かだろうか。……というか、何さっきの!

ほっぺにペットボトルを当てるとか、まるでカップルがするようなやつじゃんか!

〜っバカバカ余計なこと考えない!……きっと今、私はやや顔が赤くなってしまっているであろう。

水を勢いよく飲んで頭を内側から冷やそうと思ったけど、勢いありすぎて少し溢してしまった。

「あわわわ、大丈夫?」

海がオロオロとしながらも、ポケットに忍ばせていたティッシュを私にくれた。

「ありがとう」

もう、本当に最悪だ。何してんのよ私!ドジなやつだって思われちゃうじゃん。

特に美記はからかってくるだろうな。水も上手に飲めないの?子供じゃんって言われるよ絶対。

…と思ったけど、美記はそんなことしなかった。

「もう、バカ?何してんの…プレッシャーとかもあって演技するのキツかったかもしれないけど、充分上手だから。自分では納得できなくても、俺は知ってるから。ほら、落ち着いて?」

意外にも美記は私の背中に手を置いてトントンしていたと思ったら、次は私の頭に手を置いた。

そしてこんな言葉を言うんだから、私の驚きはMAXに達した。プラス、頭をポンポンされてドキドキもMAX。

それにしてもなんで私がプレッシャーを感じてるとか、俺は知ってるとか、言ったんだろう。

確かにプレッシャーも感じてたけど、昔の私を知っていないとそんな言葉は出てこない気がする。

「うん、落ち着いたね。水、自分で飲めそう?」

私は驚きを隠せないままとりあえず頷いて水を口に含む。てか、水を飲んで頭は冷やせなくない?私、本当にバカだ。

「あのさ、ちょっと聞いても良い?佐藤さんと夏葉さんはどう言う関係ですか?」