……なんでこうなってるわけ?状況を把握しきれないんだけど。

「俺たちは三人で一つだからね!お互い励まし合って頑張ろうよ♪昨日、夏葉と海の二人で帰ったことは悲しいけど」

私は、ある書類にサインをしてしまった。こんなはずじゃなかったのに、美記が余計なことをするから……

……私も役者の道に入ってしまった。海だけで良かったのに、美記も含めて三人で役者になることになってしまった。


「えぇ?良いじゃん良いじゃん!私は夏葉の演技見てみたいなぁ」

「…愛美がそう言ってくれたとしても、私は乗り気じゃないんだよ。てか、私にはそんな時間はないのに」

「ほら、そんな不機嫌そうな顔をしない!演技するんでしょ?嫌なことあっても笑ってみたら?」

私は、実は写真とは別で本を書いている。写真部を選んだきっかけも、部活の活動数が少ないことだった。

「愛美、今日も一緒に帰れるか?」

「あ、うん!もちろんだよ!その後M駅で待ち合わせしてショッピングモールに行くんだよね?」

「あぁ、よろしくな」

……もう、目の前でイチャイチャしちゃって!ちゃっかりお互いのこと名前で呼んじゃってるし、良いですねぇ。

微笑ましな。やっと二人がくっついたと思えば、ちょくちょく一緒にお出かけしてるみたいだし。

「…夏葉?そんなにニヤニヤしないでくれるかな?」

「愛美、絶対に幸せになってね!そして、結婚式にも呼んでね?」

私がそう言えば愛美は頬を赤らめて、「結婚するか分かんないし」とかぶつぶつ呟いた。

もしも私に仕事が入るようになったら、愛美との時間も減っていくんだろうなぁ。

それは寂しいし悲しい。でも、彼女は私の演技を見てみたいって言ってくれた。

だから私は、演技に力を入れて本気で頑張るんだ。それに、私は一人じゃないから。

「いっそのこと、俺ら演劇部に入る?バスケとの兼部はキツイと思うけど、家で練習すれば大丈夫っしょ」

またもや私にとって不都合な提案を美記に出されたけど、私は何も言い返せなかった。

海も乗り気だし、ここは我慢しよう。私の寝る時間を削れば良いだけだと思う。

「俺、佐藤サンと夏葉さんがいてくれるだけでとても安心する」

……その言葉はありがたいけど、私は苦笑いするしかなかった。本はしばらく全然書き進められなさそうだ。