「海って本当に初心者?これはプロ並みの写真だよ。儚さと力強さ、僕を見てよっていう気持ちが伝わってくる」

「……あざす」

私たちが驚くほど良かったのは、グラウンドから教室の中を撮った海の写真だ。

…写真はそのままでも、加工してもコンテストに出せる。なんなら、加工している人の方が多い。

でも、この写真は加工なしの方が良い。海も、そのままの方が良いって分かっていたかもしれない。

私が褒めると、先輩や同い年の女子も口々に褒め始めた。

ほんと、身勝手な人達だなぁ。

見た目や口調で関わりたくないって思っといて、良いところが一つでもあると目を変えて寄ってくる。

そういうのが私は嫌いだ。

「ねぇ、夏葉さんって晴沢サンと仲良いの?」

「まぁ、友達の友達で仲良くなりましたけど?」

「じゃあ、彼のことよろしくね?俺らよりもキミの方が言葉が響きそうだから」

「分かりました」

うん。関わりたくないのは変わっていないかもしれない。でも、しょうがないか。

海もそう言うキャラを作っているんだし、私は変に干渉するのはやめよう。

私一人でイライラしても仕方がないし、海は写真を撮るときはどこか楽しそうだし、大丈夫かな!

てか、私も抜かされないようにしなきゃな。ライバルが増えて頑張りがいがあると言うものだ。





「俺、写真部に入って良かったのかな……褒めてはくれたけど、不良キャラだし…」

白王子に戻った海と、今日は一緒に帰っている。

噂されるかもしれないけど、事情を知らない人は黙っておけってハナシ♪

「私は嬉しいよ。てか、逆に不良キャラが上手すぎて役者にもなれそうだよ」

「役者かぁ。考えたことない道だな。俺には到底似合わないだろうし、なったところで誰も応援してくれないかも」

「いやいや何言ってるの?もう、本当に海は王子様みたいだよ。役者になったら私がずっと応援するよ」

「ふふ、心強いや。俺、役者になってみたいかも!」

役者は、簡単な道じゃない。子役の人と比べれば、今役者になったって実力がなければ到底評価されない。

でも、もしも初心者がいきなり驚愕の演技をしたら?

天才、希望の役者だなんて取り上げられるんだろう。最初に勢いをつけた方が、圧倒的に有利になる。

……舞い上がらなければ、の話だけど。その点、海は大丈夫だと思う。


 
 どっちに転ぶは彼の努力や気持ち次第。