「あの、夏葉さん、今から体育館裏に来てくれるかな?」

「え、あ、はい?」

ウゲェ、ギャル達だ。私、こう言う女子、本当に嫌だ。苦手だし嫌い!

ケバいし、髪の毛金髪だし、目つきが意味深で怖いし、性格もヤダ……

そして、ついて行ってしまった私はバカだった。時間よ、戻っておくれ!

「ねぇ、あんたさ、佐藤さんの何?」

ほらね、こう言うことになっちゃうんだって!バカか私!てか、佐藤さんのせいでもあるじゃん?

「一緒に帰るのは百歩譲っていいとしても、佐藤さんにめっちゃ好かれてるみたいじゃん」

「あ、あのぉ、私は好かれてなんかないですよ?逆に、使われてるだけ……」

「ウッサイ!」

ペチンと音がしたのと同時に、頬に痛みが走った。…何で叩かれなくちゃいけないの?

本当のことを言っただけなのに、酷くないですか?

「佐藤さんの隣だからって調子にのならいでよ!」

いやいや、調子になんかのってないです。何なら、大人しくしてたいんですけど……

「私たち、あんたのせいで邪魔者扱いされたんだから!」

「そうよ!あんたばっかりずるいんだけど」

「…お言葉ですが、なら、移動教室の時も一緒にいれば良かったんじゃないですか?」

あんた達、都合良すぎ。私、誰も佐藤さんと一緒にいないから移動教室まで連れてってあげたんだよ?

「はぁ?何それ。あのさぁ、あたし達は純粋な女の子なの!ずっと一緒にいられる程、心臓がもたないの」

「なのに、あんたみたいな猿が一緒にいるんじゃねぇよ!」

あ、やばい。またブタれる。私はそう思って目を瞑った。でも、音はパシッとなったのに痛くなかった。

どう言うことかと思って目を開くと、目の前には佐藤さんが居た。

「…あんたら、夏葉に何してんの?夏葉の頬が赤いんですけど。腫れてるんですけど?一回ぶっておいて、またやるつもりだった?」

私といる時とは全く違う、とても低い声だった。私のために、怒ってくれている。

……そんなギャル達は佐藤さんの登場にオロオロしていた。一人が口を開く。

「これは、何かの勘違いですっ。私たちは、夏葉さんの頬が腫れてるのを見て、それで話を聞こうと…」

「そうなの?夏葉」

少し柔らかくなった声で、佐藤さんが私に問いかけた。