……怖い怖い。明るくニコニコ振る舞ってる時と、冷たく振る舞う時のギャップが怖い。
何なら、そこまで自分を変えられる所はすごいとすら思う。
てか、その言い方だと勘違いしそうになるしされちゃうじゃん!
「でねでね、勘違いしないで欲しいし噂もダメ。何より、これから俺と夏葉の近くにいたらお前らにとって都合の悪いことするから。特に、夏葉が嫌がることしたら許さない。…って言ったんだ♪」
「…それ、逆にもっと勘違いされちゃうんじゃ?」
「そう?」
「そもそも夏葉呼びしてる時点で勘違いされるのに、俺と私の近くにいたらって確定されるって!」
大丈夫なのか?この人。佐藤さんって意外とバカだ。てか、信じられないくらいに私には優しめなの、何で?
それこそ、私が勘違いしちゃうって。
「まぁ、結果オーライだよ。これからはもっと、一緒に居ようね♪」
佐藤さんは最近、結構チャラチャラになってきてない?語尾によく、♪がついてる気がする……
「ねぇ、夏葉さんって好きな人っているの?」
…さん付けに戻ったことに安心しながらも、私はもやっとしていた。
「好きな人かぁ」
そんな気持ちもすぐに忘れるべく、本題に頭を悩ませることにした。
好きな人、実はいるっちゃいる。でも、それは幼稚園児の頃の話。
忘れてはいないけど、今も好きかはわからなくなりかけている。小学生の頃、彼は転校してしまったのだ。
それ以来、一度も会っていない。どこに転校したのかも分からないまま、今日まで過ごしていた。
「…自分の話ばかりでごめんね?だけど、俺には好きな子、いるよ」
「あぁ、前に言ってた初恋の?」
「うん。その子のこと本当に好きだったんだけど、俺さ、家の事情で小学の時に転校しちゃって…」
私が好きだった男の子に似てるなぁ。私、佐藤さんの初恋の相手の女の子の気持ち、分かるかも。
だって、好きな人と離れ離れになったら悲しいじゃん。辛いじゃん。後悔もするじゃん。
あの時、気持ちを伝えていれば何かが変わったのかな、とか考えちゃう。
「俺、この高校にいる初恋の子、絶対に見つけてさ、振り向かせたい!」
「そっか、頑張れ!私、応援するね?」
そうして、私たちの恋バナは終わった。
でも、問題はその後だった。