佐藤さんと帰った翌日である今日は、全く噂されている感じはしなかった。

さらに、佐藤さんの周りから女子がとうとう居なくなっていた。……また何か言ったのかな?

気になったところで、私には関係ないのだけれど。

「なーつーはー!」

「あ、愛美おはよう」

いつも以上にルンルンな彼女は、軽くスキップをしながら私の元へやって来た。

「ふーん。何かいいことあったんだ?」

「あ、バレちゃった?」

今頃気づいたけど、道琉も結構嬉しそうにしてる。ってことは、二人は……

「付き合うことになりました!」

やや小さめの声でそう報告してくれた彼女を、私は抱きしめた。

「良かったね!ついに、うわぁ〜、本当におめでとう!」

「ちょ、声大きいって……」

「あのね、今更だよ?みんな、二人が両想いだって知ってたんだから」

恥ずかしそうに俯く愛美に、私はそう告げた。この言葉に、彼女はすごくビックリしていた。

「え、私は今まで、夏葉以外に道琉が好きだって言ったこと、ないよ?」

「言わなくても分かっちゃうくらい、二人が分かりやすかったの!」

私以上に分かりやすい二人は、なぜかしら、結構鈍感だ。

だから、付き合うまでにこんなにも時間がかかってしまったのだ。

そんな愛美は、「恥ずかしい」と言って私に抱きついた。

そこへ、例の彼がやって来た。

「ヤッホー、愛美サン道琉とおめでとう」

「わ、え、その、ありがとう?」

そう言って愛美は私と佐藤さんを交互に見てから、なぜか「私はこれで……」とどこかへ行ってしまった。

そのせいで今、私と佐藤さんの二人きりになってしまった。

「ついにあの二人、付き合ったみたいだね。いやぁ、おめでたいな」

「…そのことよりも、今日、珍しく女子が周りにいないね。また何か冷たいこと言ったの?」

なぜか周りに女子がいなくなった今日、何も気にした様子のない佐藤さんが私に話しかけて来た。

これをいいことに、気になっていたことを聞いてみた。

「聞いちゃう?あのね、昨日俺らが一緒に帰ったこと知ってる奴が、俺に夏葉さんのことが好きなのかって聞いて来たんだ」

「それで?」

「ふふふ、お前らよりは全然夏葉の方が好きだよ。って言った♪」