「それと歩ちゃんじゃなくてお兄さんな」 「歩ちゃんは歩ちゃんだもん!」 にこっと笑うわたしに、呆れたように微笑む。 わたしの膝裏に右腕を当てて、ひょいっと抱きかかえ立ち上がる。 いつもと違う目線の高さに周りを見渡さず、すぐ近くにある耳に口を寄せる。 内緒の話をするように小さな声で話す。 「ねーねー、歩ちゃん」 「ん?」 「はなね、歩ちゃんの事だーいすき」