ダメージを受けているわたしの代わりに、向かいの席の(うらら)が口を開く。

「やだー、普通そういうこという? 栗谷くんデリカシーなさすぎ最低!」

 さすが親友。
 クラスの女子にイケメンとあがめられて調子に乗ってる栗谷くんにも、ずばりと言ってくれる。
 だけど、栗谷くんはひるまない。

早乙女(さおとめ)さあ、この弁当のメニュー見てもなにも思わないのか?」

 栗谷くんはそういうと、わたしのお弁当箱を指さす。
 麗は、カールした長い髪の毛を抑えてお弁当箱を覗き込んでくる。

 今日のメニューは、からあげ(大四個)ウィンナー(三本)ミニハンバーグ(大きめ二個)ポテサラ(隙間に詰められるぶんだけ)大きめおにぎり二個。
 わたしの好物ばかり。

 麗は、お弁当箱から視線をそらすと、宙に目を泳がせる。

「まあ、ちょっと野菜足りないかもだけど」
「だろ? おれは間違ったことはいってない」

 栗谷くんの言葉に、麗は黙り込んでしまった。
 彼が教室から出て行ったあと、麗はサンドイッチとミルクティー(無糖)のお弁当を終えた。

「それで足りるの?」

 わたしがそう聞くと、麗は「あたし、あんまり量食べるとお腹痛くなるからー」と苦笑い。
 そんな少食の彼女は、手足がすらりと細く長く、顔も小さく、おまけに整った顔のめっちゃ美人。

 わたしは自分のお弁当を見て思う。いや、もう完食したから空なのだけど。
 もしかして……わたし、食べ過ぎ?